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科学の力ってすげー?

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【本】強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」



リモートワークを駆使して、
小さなチームで大きな成果を上げてきた
37signalsの創業者ジェイソン・フリードと
デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンによる
リモートビジネスの実践録であり指南書。

リモートワークは「会社にも社員にもプラスである」
という強い信念に基づいているから、ぶれない。

なにより常識的な「集合労働」を否定して
実際に結果を出している彼らだからこその説得力にあふれている。

リモートが万能で、すべての問題を解決するとは全く言っていない。
向かない業種があったり、リモートならではのストレスや不安が
生じることも率直に伝えている。

ビジネス(=顧客対応)の秘訣はとても役立つ。
p.148
1 営業段階から遠くにいることを伝える
2 過去の顧客と話をしてもらう
3 こまめに成果を見せる
4 いつでも連絡がとれるように(電話やメッセージをこまめに)
5 顧客を巻き込む(やりとげようという空気を作る)

人材採用、マネジメントについても至言が詰まっている。
「人柄が大事」「仕事ひとすじ社員はいらない」「文章力のある人を雇う」
「席に座っているかを見るのがマネジメントではない」「無駄な承認をなくす」

リモートであることは、シビアに成果物で判定される、
というのは頷いた。
これこそまさに真の成果主義だ。
社員をプロとして扱い、成果(チームへの貢献)をもってジャッジする。
名目だけの成果主義がうまくいかないのは、
成果以外もついつい評価基準に入れてしまう感情が働くからだろうと思う。
真のリモートチームでは、そんな懸念はない。
そして生産性が高い。

非常に刺激を受ける一冊である。
リモートには、幸福に個人や家族、社会が繋がって良い影響が広まっていく、
大きな可能性がある。

http://www.amazon.com/Remote-Office-Not-Required/dp/B00DJ5TS5Q
Remote: Office Not Required [Unabridged] [Audible Audio Edition]
by Jason Fried (Author), David Heinemeier Hansson (Author), Rebecca Lowman (Narrator) 
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【本】ビジネスマンに贈る最後の言葉


体調不良を感じて、
病院で検査、診断を受けた結果、
余命3ヶ月と判明したら、どうするか。

フィクションのような話だが、現実に、
KPMGのCEO、ユージーン・オケリーに
2005年の6月に起きたことである。

ひとことでいえば、著者の生き方は見事である。
死への恐れ、運命への不平不満を口にするのではなく、
「今」何をすべきかを見つめ、こだわった。

そして、愛する人々との時間を大切にしたのち、
その命を終えた。

人は誰しも、1年先、10年先、あるいはもっと先を
見据えて生きているところがあると思う。
それが、あと3ヶ月と言われたら、
普通は絶望に苛まれてしまいそうなものだ。
著者がそこに飲み込まれなかったのはなぜか。

意志、覚悟、そういう心理もあるのだろうけれど、
そもそもなぜその心理を持つことができたかというと
私は、著者自身が記しているように
「ビジネス経験」の為したところの大きさかと思うのである。

ハードで、高い目標に向かうビジネスの経験は、
卓越した修道者や政治指導者の経験に通じるところがあるのか。

本書を知ったのは、たまたま別の本で紹介されていたためだが、
とても心打たれた。

ぜひ多くの人に…
特に多忙な仕事に追われて、
「何が大切なのだろう」と悩む人におすすめしたい本である。

http://www.amazon.com/dp/0071471723
Chasing Daylight: How My Forthcoming Death Transformed My Life
Hardcover – December 23, 2005
by Eugene O'Kelly  (Author), Andrew Postman (Author)

【本】リーダーシップは教えられる



リーダーシップということばが
苦手なのは日本人だけ、アメリカ人はよくわかっているんだよ!

…みたいな議論をたまに見かける気がするのだが、
本書を読むと、それも違うなと思う。

本書は、ハーバード・ケネディ・スクールで
リーダーシップの授業を受け持つ
ロナルド・ハイフェッツのクラスで起きていること、
ならびそこで使われるケース・イン・ポイントの教育方法の要諦を
著者の見方で丹念かつ分かりやすく表現したものである。

ケネディ・スクールの学生たちというのは、
軍や企業、公的機関などで優れた実績を上げてきた、
気鋭の人物たち、それこそアメリカのリーダー層と言って間違いない
人たちなわけだが、
そのリーダーたちが、ハイフェッツのクラスでは、
悩み苦しみ、一皮むけるまであがくことになる。

そして、今まで持っていたリーダーシップ概念とは異なる
リーダー感というものを身につけていくのである。

クラスでは重要な場面がたくさんあるが、私が印象的なのは
「リーダーシップとオーソリティの区別」
である。
権威の力で他人に命令することを、リーダーシップと思い込んで
しまっている人は多い
(これが私が冒頭で触れた「アメリカ的間違いリーダーシップ」の意味)。
ここに気づかせるのが、ハイフェッツの手腕であり、
大きなショックを受講生に与えることができる。

また
「自分の成功・失敗体験にまさる教材はない」
ということも印象的だ。
クラスでは、ハイフェッツとTAたちの巧みな連携で、
受講生を不安や葛藤を感じさせるように持っていく。
それもまた、体験を生み出すことの一環なわけだが
(歌のクラスという、なんともびっくりな回もある!)
それでも最終的には、仕事を含めた自身の経験を内省し、気づき、
自分を変えていくことの意味を知ることに繋げるようになっている。

あとは私が個人的に役立ったのは
「自己と役割の混同を起こすとリーダーシップの脅威となる」
という話。
役割を自己から切り離すことで落ち着いて、批判を受けても落ち着いて解釈、分析できる。
これは膝を打った。
確かに、上司や顧客から批判を受けるときに、自分の人間性が
責められているように思い込んでしまうと憂鬱になり、内容を考えるどころの
話ではなくなってしまうが、
よく考えれば、相手が求めているのは役割に対する注文であって、
私という自己そのものとはなんの関係もないのである。

これは、社会の中で活動するうえで、非常に私を助け、生産性を上げてくれる
思考の技法だと思った。


ハイフェッツ自身は、リーダーシップを適切に発揮して学び続ける人材を育てることで
社会に貢献しようとしている。
彼自身が、まさにリーダーシップとは何かを、探求し続けているのだと思う。

http://www.amazon.com/dp/B001GIPS02
Leadership Can Be Taught: A Bold Approach for a Complex World
Sharon Daloz Parks (Author) 

【本】なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?



なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?

そもそも原題が「The Art of the Sale」なのに、
なぜ邦題はこんな挑発的(?)なものをつけたのか、と
考えてみると、
もちろん売れることを狙ってだろうけれど、
必ずしも著者の意図と無関係っていうわけでもない。

というのは、著者のフィリップ・デルヴス・ブロートンは、
記者の身分を捨てて、実際にHBSで2年間を過ごし、
「Ahead of the Curve: Two Years at Harvard Business School」という
体験記を出版しており、
その中で、HBSのプログラムのリアルを伝えている。
私の印象では、彼は、HBSは「カネ稼ぎ」のための
肩書きを与え、スキルを鍛えてくれる反面、
日々のビジネスを積み重ねている人々に対する敬意を持たなく
なるようなところがあるという警鐘を鳴らしていると思うのだ。

そんな彼が、「Sales」に焦点を当て、
世界各地における、その達人たちの哲学や行動を丹念に描いている。
そこには、HBSのプログラムが重点を置くような戦略、データ分析、理論は
ほとんど出てこない。
あるのは、何を信じているか、そしてどう行動し続けているかという、
ライフストーリーである。

印象的なストーリーばかりだが、
特に挙げるとすると、日本の生命保険セールス、
第一生命の柴田さんとプルデンシャル生命の岡さんの話が興味深いと思った。

私は生命保険の営業をしたことはないし、
営業を受けたこともほとんどないが、
そのビジネスに対する印象は
「過酷そうだな」「本当に必要なものを売っているのかな」というような
正直、マイナスなものであった。

だが、トップセールスである柴田さん、岡さんの信念、言葉、行動を、
異国のライター目線で通して見たときに、
その印象は大きく変わった。
彼らは、過酷だと思っている訳ではないし、また、本当にお客さんに必要だと
思って売っているのである。

それを、たとえば宗教的だといって批判するのはたやすいし、
かつ、さも科学的にビジネスを扱っているように振る舞うこともできる。
でも、それでは、売れないのだ。
売れないのでは、利益が上がらず、ビジネスは回らないのだ。
それでは、企業は立ち行かない。

資本主義の社会で、企業活動が成果を出して、有機的にビジネスが回るためには、
そこに必ずセールスが入っている。
もちろん、プロダクトやサービスが劇的に優れているから、セールスがいらないように
見えることもあるだろう。
あるいは、セールスの手法を完全にデータと仕組みで管理することで科学的に
目標数値に達することができると考えることもできるだろう。

だが、その思考は必ず、落とし穴にハマる。
私は本書を読んで、そう思った。
もちろんそれは、本書が、セールスという行為を再評価したいという意図で
書かれているというバイアスがあるからだけど、
実際に、購入を決断するのは人間であり、とことん感情に左右されることは、
それこそ行動経済学が近年明らかにしてきたように「科学的真理」であり、
であるならば、その感情に働きかけることができる最強の武器、それは、
買い手に決断を促す技量を持った、人間なのである。
とりわけ、高額なプロダクト、サービスであれば、尚のこと。

そして、その人間を鍛えるのは、本書で繰り返し出るように、
1にも2にも、経験なのだ、と。

私自身、いま、全然希望していなかったセールスの仕事をしていて、
「なんでおれがこんな向いてないことを」
と思うことも多いのだが、一方で、失敗と成功の経験の小さな積み重ねから、
少しずつ適切に振る舞えるようになってきた実感があり、
そこに面白みがあるのもまた、本当である。

私のように、セールスをする中で色々もがいている人にとっては、
本書は、広い横幅でセールスを捉える学びのチャンスを与えてくれるという意味で、
価値があると思う。

The Art of the Sale: Learning from the Masters About the Business of Life [Kindle Edition]
Philip Delves Broughton (Author) 
http://www.amazon.com/dp/B005GSYZZM

【本】シゴトの渋滞、解消します! 結果がついてくる絶対法則




渋滞学の専門家による、
「仕事の渋滞をなくすための思考法と実践法」を
個人→部内→社内の3段階にブレークダウンして伝える一冊。

ちょうど、本書を読む少し前に、
エイドリアン・ベジャンの「流れとかたち」を読んだあとだったので
その考え方に通じるものが非常にあるなと思って、大いに納得した。

ベジャンは、自然の原理とは「流れをよくするように形作られる」と
打ち出し、自然現象から社会分析まであらゆるものにその原理が
生きていることを示してみせた。
本書の著者、西成氏は、「なぜ良き流れにならず詰まるのか?」という
視点から、道路渋滞から組織論までの渋滞のメカニズムをひもとき、
それに実戦的な解決策を打ち出してくれる。
そういう意味では、相補的な捉え方をすると、実に良いなと思った。

本書で一番面白いのは、著者が自分の学生時代から
不遇(?)の研究者の駆け出しの時代を語る部分であった。
そこで著者は「社会の誰からも必要とされない密室の研究」に
打ち込むことの空しさを噛み締め、「社会の難問解決」へと
研究、そして生き方の舵を切っていくことになる。

様々な科学分野を横断的につなげながら、
独自性を打ち出し、かつ世の役に立つ研究に取り組むという
スタイルを確立していくのである。
ここのエピソードの本音感が、苦労を感じさせるとともに
とても示唆に富んでいると思うのである。

これだけ「無駄とり」の研究を重ねている人は、
さぞ生き方に無駄がないのかと思うと、著者はむしろそういう
「勉強」(=他の誰かによって踏み固められた安定的な道)に
留まることには否定的で(少なくとも社会に出たあとには)、
それこそ悪戦苦闘して渋滞の中を前進していくことこそ「仕事」で
あると強く主張している点は、
よく理解しておくべきことである
(というか、本書のようなスマートな題名を見せられたら、
 そう思ってしまうリスクがあるんじゃないかなぁ…笑)

とりあえず渋滞を起こさないコツだけメモっておこう。
渋滞は、自分だけが早く着こうという利己の姿勢から
車間距離をつめすぎてしまうことから起こる。
他者の動きを良く見て、広めに車間距離をとれば、先行車が
ブレーキをしても、その影響を吸収することができる。

結局のところ、利己意識を抑えて、余裕を持つことが
自分も周りも結果トクをすることになるというのは、
工学が道徳に科学的根拠を与えるとも言えて、なるほど、すばらしい。


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