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【本】ホワイトスペース戦略



ビジネスモデルということばは
今日、私も含めて、経営戦略に少しでも関心のあるひとならば
一度はなにがしかのかたちで口にしたことはあるのではないかと
思うけれど、さりとて、
実際にそれを定義できますかと言われると
私はまったく自信はない。
「ビジネスのモデルですかね」
などと何にもならないコメントを言いそうだ(笑)。


本書では、このビジネスモデルの定義から始まり、
企業がホワイトスペース、すなわちこれまで得意にしているコアスペースに
留まらずに新しい領域に進出して、成功を収めるために
何が必要なのかを
モデル、事例、ユニークな比喩を用いてわかりやすく説いている。


まずビジネスモデルの定義に関しては、
それは関連し合う4つの要素で構成されているとする。
「顧客価値提案」「利益方程式」「主要業務プロセス&主要経営資源」である。


そして、新しい顧客価値提案を実現する際に、ほかの3つの要素に多いに革新性が
求められるときというのが、それは企業にとってのホワイトスペースへの進出であり、
新しいビジネスモデル構築が求められるということだ。
これをビジネスモデル・イノベーションと定義づけるということである。
非常に筋が通っていて、納得できる。


そして、その過程は「再現性がある」と言い切るのが、本書の最大の力点ではないだろうか。
天才経営者による模倣不能な神業ではなくて、
ステップを適切に重ねることができれば、それは再現しうるのだ、と。

そのステップは、1に顧客のジョブ(用事)明確に理解し、その満足方法を考える。
2に、解決しながら利益をあげる方法を考え、自社の既存ビジネスモデルで充分かを諮る。
3に、顧客価値提案と利益方程式の実現のために、主要経営資源と業務プロセスを
いかに準備するかを考え、何をするかをジャッジする、ということになる。
p.229に出てくる「犬」を開発する企業が「猫」という事業領域に気がついたときに
何がおこるか...というたとえばなしが面白い。
本書で述べているビジネスモデル・イノベーションを理解するうえで実に分かりやすい。


さて、本書を読み終わって私が思ったこと。
ビジネスモデル・イノベーションはどちらかというと
大企業の戦略レベルに向く考え方だけれど、
ベンチャー企業や、あるいは公共セクターでも充分に参考になる。


ベンチャー企業の成長を運ゲーではなくて、再現性ある、科学的なプロセスに分解した
「リーン・スタートアップ」と相補的な印象を持った。
いずれにせよ共通するのは、顧客が既存のものではたりない価値を感じるのは何かを
掘り下げて、そこから既存の自分たちのやり方で対処できるかを検討するというところだ。
リーンスタートアップ式にいけば、そこからMVP(実用最小限の製品)を出して、
学びを得ることに集中するわけだし、
ホワイトスペース式にいっても、同じように仮説検証のために安価で高速なテストを実施して
ビジネスプランを修正していくことが肝要になる。


ただし、大企業の場合は、既存事業部門や財務部門からの新規事業部門への抵抗が
すさまじくなるため、
経営者の役割としては、開発と市場投入のドライブそのものというより、
その部門の人々や予算を確保し、守り抜くというところに力点がおかれるであろう。


まー、ただ、言うはやすく、行うは難し...
新規事業で成功するまでやりぬく情熱の持久力こそが、最後には勝敗を分けるものかもな、とも思う。


ともあれ、読んで非常に学びが多かった。




ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ [単行本]
マーク・ジョンソン (著), Mark W. Johnson (著), 池村千秋 (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/dp/4484111047
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