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科学の力ってすげー?

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【本】なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?



なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?

そもそも原題が「The Art of the Sale」なのに、
なぜ邦題はこんな挑発的(?)なものをつけたのか、と
考えてみると、
もちろん売れることを狙ってだろうけれど、
必ずしも著者の意図と無関係っていうわけでもない。

というのは、著者のフィリップ・デルヴス・ブロートンは、
記者の身分を捨てて、実際にHBSで2年間を過ごし、
「Ahead of the Curve: Two Years at Harvard Business School」という
体験記を出版しており、
その中で、HBSのプログラムのリアルを伝えている。
私の印象では、彼は、HBSは「カネ稼ぎ」のための
肩書きを与え、スキルを鍛えてくれる反面、
日々のビジネスを積み重ねている人々に対する敬意を持たなく
なるようなところがあるという警鐘を鳴らしていると思うのだ。

そんな彼が、「Sales」に焦点を当て、
世界各地における、その達人たちの哲学や行動を丹念に描いている。
そこには、HBSのプログラムが重点を置くような戦略、データ分析、理論は
ほとんど出てこない。
あるのは、何を信じているか、そしてどう行動し続けているかという、
ライフストーリーである。

印象的なストーリーばかりだが、
特に挙げるとすると、日本の生命保険セールス、
第一生命の柴田さんとプルデンシャル生命の岡さんの話が興味深いと思った。

私は生命保険の営業をしたことはないし、
営業を受けたこともほとんどないが、
そのビジネスに対する印象は
「過酷そうだな」「本当に必要なものを売っているのかな」というような
正直、マイナスなものであった。

だが、トップセールスである柴田さん、岡さんの信念、言葉、行動を、
異国のライター目線で通して見たときに、
その印象は大きく変わった。
彼らは、過酷だと思っている訳ではないし、また、本当にお客さんに必要だと
思って売っているのである。

それを、たとえば宗教的だといって批判するのはたやすいし、
かつ、さも科学的にビジネスを扱っているように振る舞うこともできる。
でも、それでは、売れないのだ。
売れないのでは、利益が上がらず、ビジネスは回らないのだ。
それでは、企業は立ち行かない。

資本主義の社会で、企業活動が成果を出して、有機的にビジネスが回るためには、
そこに必ずセールスが入っている。
もちろん、プロダクトやサービスが劇的に優れているから、セールスがいらないように
見えることもあるだろう。
あるいは、セールスの手法を完全にデータと仕組みで管理することで科学的に
目標数値に達することができると考えることもできるだろう。

だが、その思考は必ず、落とし穴にハマる。
私は本書を読んで、そう思った。
もちろんそれは、本書が、セールスという行為を再評価したいという意図で
書かれているというバイアスがあるからだけど、
実際に、購入を決断するのは人間であり、とことん感情に左右されることは、
それこそ行動経済学が近年明らかにしてきたように「科学的真理」であり、
であるならば、その感情に働きかけることができる最強の武器、それは、
買い手に決断を促す技量を持った、人間なのである。
とりわけ、高額なプロダクト、サービスであれば、尚のこと。

そして、その人間を鍛えるのは、本書で繰り返し出るように、
1にも2にも、経験なのだ、と。

私自身、いま、全然希望していなかったセールスの仕事をしていて、
「なんでおれがこんな向いてないことを」
と思うことも多いのだが、一方で、失敗と成功の経験の小さな積み重ねから、
少しずつ適切に振る舞えるようになってきた実感があり、
そこに面白みがあるのもまた、本当である。

私のように、セールスをする中で色々もがいている人にとっては、
本書は、広い横幅でセールスを捉える学びのチャンスを与えてくれるという意味で、
価値があると思う。

The Art of the Sale: Learning from the Masters About the Business of Life [Kindle Edition]
Philip Delves Broughton (Author) 
http://www.amazon.com/dp/B005GSYZZM
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