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【本】新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか

原題は
「Beyond Reason  -Using Emotions as You Negotiate」

前著「Getting to Yes」では
原則立脚型交渉を打ち出し、ベストセラーとなって
交渉の教本となったが、
訳者によると「楽観的すぎる」「感情の問題に触れていない」
などの批判があがったとのことである。
それに対する実践知としての回答が本書だといえよう。

要約としてはまとめのp.272にあるのでそれを書くと
「第一には率先して行動するべし」
「第二は感情の問題ではなくて欲求の問題を解決すべし」
となり、その交渉相手の核心的欲求が5つに分類できる、
それが「価値理解」「つながり」「自律性」「ステータス」「役割」である。
核心的欲求に焦点を当てることの重要性は、
本書の中で数々のエピソードで力説されている。

とりわけ、一歩間違えれば戦争というような
国際政治のシビアな交渉場面で、感情に振り回されず
核心的欲求を重視して、相手のそれを尊重することで、
どれだけの有益な交渉成果にたどり着けるかが決定的に変わることは
ものすごいことだなと思った。

ビジネスの、物販などは核心的欲求というところまで
深掘りできないこともしばしばあると思う。
そもそも買い手が強い核心的欲求を持つわけでないことも多いだろう。

しかし、国民や支持者の声を双方が背負った政治交渉では
交渉当事者がそれぞれに入り組んで、かつ強い欲求を背負っていることが多く、
そうなってくると相互の利益を主張だけするような
交渉では間違いなく何も事態は改善しない。
本書で挙げられた考え方に沿って、交渉を0からリードしていき、
最適な結果を目指すことが肝要だ。

私も含め、勘違いしている人が多そうだと思うのは
「交渉」と聞いた瞬間にゼロサムゲームを連想してしまい、
自分の利益を失わないようにだけ立ち回ろうとするのが交渉だと
考えてしまいがちな点だ。

もちろん、それは勘違いである。
双方が核心的欲求を充足するような、建設的交渉の追求は
可能であり、
そしてそれは天才の神業というわけではない。
ごくふつうの人でも、核心的欲求に焦点を当てるという明確な
視座をもち、相手へのリスペクトを正しく表明しながら交渉に臨むことで
相当に実現可能であると感じられた。

私も今後、本書で述べられている交渉術をぜひ活用したいと思う。

経済学が明らかにするところで比較優位の原則が成立するところでは
双方が得意なものを作って、それをうまい量で交換することで
それぞれに多種を作るよりも生産性が高いことが知られている。
しかし、これも考えてみれば「交換」をうまくやらないと、
この結果にはたどり着かないのである。

おそらくは、ヒトの進化と繁栄のプロセスで、
分業と協力、そしてそれを実現するための交渉のツールが
より密度高く見られるようになってきたことであろう。

しかし、私たちは「先天的に」交渉能力を備えているわけではない。
言語を習得する能力を赤ちゃんは持つが、それは習得能力であって
言語そのものを持って生まれるわけではない。
交渉能力も同じようなものではないか。
生まれでて、泣くとか笑うとかの感情の発露の段階を終わると、
そこから先は核心的欲求を持つようになり、その実現には
自分の感情をただ出すだけではまるで不十分と知る。

そこで、相手のことを考えた交渉術を持つ価値にきづき、
それを洗練させていくことで、より充足した生き方ができる可能性が
高まると思うのだ。

というこれだけ大事な話なのに、日本の学校で教えてくれた
試しがないんだよな…(苦笑)。
興味を持てない教科教育にさく時間やコストを、こういう人間社会の
根本的な能力の重要性の気づきやトレーニングに宛てることは
できないもんかね〜。

/////

本書内容についてはこちらが詳しい
http://www.gashimax.com/wiki/index.php?%BF%B7%A5%CF%A1%BC%A5%D0%A1%BC%A5%C9%CE%AE%B8%F2%BE%C4%BD%D1
http://wolf-masa.blogspot.jp/2006/09/blog-post_16.html
///
Beyond Reason: Using Emotions as You Negotiate [Kindle Edition]
Roger Fisher (Author), Daniel Shapiro (Author) 
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