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The Last of Us 私論

数年ぶりにBLOGを書こうと思ったのは、
Twitterだとやっぱり短すぎて書けないこともあるな、と
思ったから。
今後、書きたいことがあったら、適当にBLOGに投下する予定。
特にテーマへのこだわりはなし! 備忘録+αっすね…。

で、そのちょっとまとまった量を書きたいテーマというので
第1回目はPS3のゲームソフト「The Last of Us」を取り上げる。
/////////////////////

タイトル:The Last of Us
ジャンル:サバイバルアクション
発売日:2013年6月20日
発売元:ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン.SCEJ
開発会社:Naughty Dog, Inc.

/////////////////////

結論から言うと、絶賛。
だけど、それだとTwitterでいいだろって話だし、
もうちょっとだけ。

あ、ちなみにネタバレを含むので
これからプレイしたい方はブラウザを閉じてください(笑)。

とりあえず、本作の設定自体は、
「謎の感染病(感染者は狂暴化して人を襲う)によって荒廃した世界」
という、SFホラー映画などではありがちで、
ゲームでも過去そういったタイトルはたくさんあったと思う。

ただ本作の凄味は、表現とプレイの力点を置いたところの
ユニーク性にある。
すなわち、世界の荒れ具合や恐怖感がメインではなく、
主人公たちの心身の苦しみと、狂気を孕んだ慈愛というべき感情を、
徹底して掘り下げて描き、
プレイヤーにゲームプレイを通じて、それらを追体験させるところにある。

正直僕はPS3購入が今年になってからという遅さなので(笑)
今世代コンシューマ機におけるトレンドのゲームをほとんど
プレイしていないこともあって、
他作品との比較で語ることは難しいのだが、
まぁでも別にそういうことを考えなくても、
単純に、深くのめり込んで、感情を揺さぶられて、共感してしまった。

本作では映画のように、エンドロールが流れるのだけれど
(昨今、完結ストーリーもののゲーム以外ではなかなかエンドロールも
 見なくなってきた気もする)
そこで表示される数多くの制作者たちの名前を見たときに、
「いい体験させてもらって…ありがとう」と思わずにはいられなかった。
ジョエルは最初は生き延びることがすべてで、
ふとした経緯から連れて歩くことになった少女エリーのことは、
お荷物どころか関わりたくない疫病神くらいに思っていた。

しかし、2人で力を合わせて襲いくる敵を打ち倒し、
困難を乗り越えるうちに、
ジョエルはエリーを守ることそのものに自分の生きる意味を
見出していく。
そこには、かつて守れなかった自分の愛娘の姿が重なっている。
一方エリーも、最初はまったくジョエルのことを信頼して
いなかったのだが、危機を乗り越える中で少しずつ心を開いていき、
恐怖と残虐さと死に溢れている狂った世界の中で、
彼を信じることで、親子の愛に近い感情を育んでいく。

結果、2人は世界を救うグレートジャーニーに突き進んでいくわけだが、
最後、あともう少しで世界が救えることになるところで、
ジョエルは葛藤のあげく、人類全体の未来よりも、エリーを守ることを
選んでしまうわけである。

さて、
このストーリー仕立てそのものは、ぶっちゃけ、
ゲームのシナリオライターがすべて握っているわけだ。
感染症の設定をちょろっといじるだけで、
別にエリーの命と引き換えることなくても、世界が救われました、
2人も楽しく暮らし、めでたしめでたし…
というエンディングにすることは、とっても簡単なのである。

だがあえてそれをしないということは、
エンディングを迎えたプレイヤーの心情に、
幸福感とはいえない感情を抱いてほしいということになる。
いや、これってなかなかできないよ。

無論、他の表現作品では、つまりたとえば映画や文学では、
とりわけ戦争を扱った作品などでは、
悲しい終わり方を迎えることは、
戦争の痛みを受け手に感じてもらうための常套手段として、
とてもよくあるパターンである。

しかし、ゲームでそれをすることは、個人的には、
正気ではなかなかやれないことだと思うのである。
なぜか。

まず、ゲームの場合は、受け手であるプレイヤーに
操作を要求し、ゲーム世界の探索を要求する。
したがって、映画などと違い、キャラクターの行動は
ある程度プレイヤーの意志が反映されるために、
そもそも制作者が意図した通りの感情の運びになるかどうかは
分からない、というよりかは、
インタラクティブさが本質にあるなら、感情は付随物という
ことになる。

ついで、その結果として、だいたいのゲームでは
10~30時間程度のプレイを要求する。
単純に映画1本を2時間としても、その10倍前後の
時間投入(さらにプレイするため、エネルギーは数倍かかるだろう)を
求めることになる。
さて、そこまで苦労してやった結果、
ハッピーエンドが待っていないのだとしたら、
ごく一般的に考えると、プレイヤーは怒りだしてもおかしくはない。

たとえば、多くのゲームには「ボス」と呼ばれる存在がいて、
だいたい悪の親玉だったりする(だからこそ強さが正当化される)以上、
それを倒すことは、善のカタルシスの解放が生じる。
だがそこで待っていた結果がバッドエンドでした、では、
プレイに伴う感情とストーリーに矛盾が起きて、プレイヤーは
不快になって然りなのである。

それをあえて、ハッピーエンド(必ずしもバッドエンドかは
分からない、というあたりはミソだと思うが)ではない
終わりを用意する
(しかもマルチエンディングゲームではなく、
 いわゆる一本道ゲームなので、他の終わり方はない)
というのは、
まさにプレイヤーの感情の動きを計算し尽くしていないと
大不評になるリスクを抱えているわけである。
そしてもちろん、人によって感情のポイントにはずいぶんと差が
あるわけで、その「計算し尽くし」が原理上可能なのかも怪しい。

だがそれをやってのけ、
結果的に世界中で絶賛の嵐を起こしているところが、
まぁ、率直に脱帽である。

ゲームのグラフィックや音の表現、
操作性やアクションの秀逸さも、そのストーリーにもとづく
感情展開を見事に支える高いクオリティを誇っており、
Naughty Dog社の「ゲーム制作力」の高さは
本作で極まったと言えるのではないだろうか。

/////////////////////
いくつかのネットレビューを読んでいて
「あまりに素晴らしすぎて続編を作ってほしくない」
という意見が散見され、なるほどなと思った。
ハリウッド映画などでは、興行収入が良くて人気が出た
映画は、すぐに続編制作の話が舞い込むものかと思うが、
しかしそれが単にアクションでヒットしたとか、俳優でヒットしたとか、
そういうことではなく、
世界観に基づくストーリーのもたらす共感レベルの高さが
魅力のコアにあった場合には、
ファンであればあるほど、続編を望みたくない、というケースはたまにあると思う
(か、あるいは、続編の質が低かったときにはブーイングの嵐に変わる)。

今日、コンシューマ・ゲームの開発には、
とりわけ重厚な作品ともなると、信じられない額の開発費用と
プロジェクトチームのパワーが要求される。
であるならば、完成した1作目ののゲームの設定やキャラクターを
再利用して、続編を作ろうとすることは、
商業的にはまったくもって当たり前である。
ゲームは、慈善事業ではないのだから、
投資から最大限の収益を引き出さなくては話にならない。

でも、どうやら、少なくとも本作については、
開発チームとして、追加DLC(ダウンロードコンテンツ)は確実に作るけれど
「続編は作れなくても問題ない」というメッセージを出している。
もちろん、商業面から、そのスタンスが変わるケースはあると思うし
そうなったからといって批判される筋合いはまったくない。
ただ少なくとも開発の後の時点で
「続編を作る気はない」と言い切ってしまえるというのは、
上述の、プレイヤーの感情展開を見通して構成する巧みさと併せて
考えると、実に頷ける話だ。

僕自身、プレイしていてあまり攻略サイトを頼りにしなかったので
途中では突破が難しい場面で死亡を繰り返し、
何度もコントローラを放り投げたのだが(笑)、
ついなんとなく、また次の日とかにプレイしてみて、
なんとかなんとか進めてきて、
エンディングまで辿りつけた。
そして、エンディングを見て、そこで切なさを覚え、そして余韻に浸る
ことができて、ああよかったなと思った。

もちろんゲームプレイの巧拙は人によって違うし、
死亡回数とか、感じる難易度とかも(まぁ難易度設定もできるわけだし)
違ってくる以上、
その経験は、他のプレイヤーと同一であることはないのだけれど。

ただ今日、ストーリーが一直線のゲームは「一本道ゲー」と時に
皮肉を込めて呼ばれることが多い中で、
あえてその一本道ゲーだからできるストーリーの重みと、
共感を高いレベルで、ゲームというメディアの特性を最大限に生かして
あまねくプレイヤーに体験させ、「語りたい」という思いを
引き起こさせた点で、
制作者たちに心からの賛辞を贈りたい。

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・外部リンク
公式サイト
『The Last of Us』の開発を振り返り「自分たちがプレーしたいゲームを完成させた」とNaughty Dog
【コラム】『The Last of Us』の続編を作るべきでない理由
『The Last of Us』クリア後の余談をいくつか【ネタバレあり】【ラスト・オブ・アス】
The Last of Us(ラスト・オブ・アス) レビュー (mk2 PlayStation)
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